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UOUSAOU

右往左往するアラサ―女子の、気ままな備忘録・雑記です。

虐待、という名の鬼ごっこを逃げ延びた女の子のお話

はじめに

本記事は、先日の以下の記事の対になっています。
読んでくださった方、コメントをくださった方、心からお礼申し上げます。ありがとうございました。
yuki-kuriyama.hatenablog.com

物心ついたら始まっていた『鬼ごっこ』

ある子供が物心がついたとき、『鬼』がいました。
物陰に連れて行かれたと思ったら、ほうきで突っつかれたり、蹴っ飛ばされたり、叩かれたり。

『鬼』は普段は子供とは別の場所に住んでいるのですが、血縁のため頻繁に会っていました。
子供は普段はおやすみ3秒の子供でしたが、『鬼』に会わなければならないと知ると、夜は嫌で眠れなくなりました。

「『鬼』は好きじゃないな」
と思う自分の気持ちに気付いたとき、
「家族なのに、どうして嫌いなんだろう。家族を好きになれない自分は悪い子なのかな」
と、悲しく思っていました。

少し大きくなり、幼稚園に行き始めた子供は、
「これは『鬼ごっこ』 だ。『鬼』にマークされると捕まるから、一人にならないようにしよう」
と考えました。
でも、『鬼』は子供より知恵もあるし体も大きいので、そんな考え虚しく、『鬼』に物陰に連れて行かれます。
『鬼』に手首をつかまれたときは、心のスイッチを消し、その時間が早く過ぎることを祈りました。

子供は言葉にしないだけで、全部感じ、そして諦める

子供は、それを言語化するに適切な言葉は即ち「虐待」だと、知りません。
ただ、生まれながらに自分の身に降りかかる災害なので、受け入れるしかなく、「自分は不幸だ」と思うこともありません。

子供の世界が崩壊するとき

少し大きくなって「虐待」という言葉を知ったとき、子供の世界が崩壊します。

  • 自分の半径数メートルの世界が、『鬼』の住処だった
  • 自分の人生は、のっけからのハードモードだった

と気づくからです。
付随して、人と比べて自分の境遇が幸せとは言えないという相対視が始まります。

「どうして私だけこんな目に遭うの?」という『相対視の波』が、子供の人生にラベルを貼り、命名します。
名前のラベルとは即ち、ナイトメアモード、です。
『相対視の波』はご丁寧に『鬼』が子供の心にたくさんの開けた穴ボコをえぐっていくのです。

「経験の幸不幸を人と比較したって意味がない」
と、やっとこ理解したときには、子供は既にかなり大きくなっているし、心の穴ボコは深くなっています。

子供は『自分を守ってくれる人』を守ろうとする

「『自分を最も守ってくれる人』 に、"自分が『鬼』 に虐められて傷ついている"とバレてしまうと、『自分を最も守ってくれる人』 も傷ついてしまう」
と子供は思います。

だから、『鬼』にされていることが痛いとか悲しいとか、一切アラートを上げることができません。
ただ、『鬼』の影や一挙一動に緊張し、鬼ごっこがいつ始まるのかと怯え、虐めにひっそりと耐えるようになります。

『鬼』とは子供に追剝ぎをする強盗とか山賊みたいなもの

『鬼』は、『自分を最も守ってくれる人』が日々分け与えてくれる、ぽかぽかした気持ちや幸せな気持ちを子供から奪うだけ奪います。

次第に、『自分を最も守ってくれる人』の前でさえ、
「『自分を最も守ってくれる人』 は本当は私のことを悪い子だと思っているんじゃないか、いらないと思っているんじゃないか」
と疑心暗鬼になります。
その疑心暗鬼すら、子供にとっては罪悪感になります。
「『鬼』はおろか、『自分を最も守ってくれる人』 のことすら、信じられなくなってしまった」

『鬼』は子供からなけなしの思いやりをよこすように要求する

「年取ったら面倒を見ておくれよ」
『鬼』 は子供を虐めた後、子供の両手の手首あたりを持ち、笑顔で言いました。
子供が、「うん」と了承するまで、繰り返し『鬼』は唱えました。

「なんで私に頼むの。それなら、叩くのやめてよ」
とその子供は思っていましたが、「うん」と答えるようになります。
そう言わないと『鬼』が逃がしてくれないからです。

こうやって、子供は『鬼ごっこ』 から逃げ延びるための知恵を少しずつ身につけていきます。

『鬼』は、子供を虐めていい時期と悪い時期を読み取るのが上手

子供が『鬼ごっこ』 から逃げ延びる芸を身につけると、「子供に仕返しされる」と思うのか、
途端に『鬼』はツノを隠します。
突然、散々やってきた『鬼ごっこ』を止めるのです。

『鬼』に追いかけられていた子供が大きくなってからの話

その子供が大学に行くことを知り、『鬼』は大きくなった子供に言いました。
「私の教育の賜物だ!末は博士か大臣か!」

大きくなった子供は、
「おめでとうというのが筋なんじゃないの?あなたに勉強をみてもらった覚えは一度もない」
と、『鬼』に初めて言い返しました。

『鬼』はその子供の反逆をも知らんぷりをし、親戚縁者に子供の大学合格を言いふらしました。
『鬼』は、親戚縁者に褒めそやされる電話に満足しているようでした。
「そうなの、女だてらにねえ。きっと嫁に行き遅れると思うから、いい人がいたら紹介しておくれね」

その様子を見た大きくなった子供は、
「『鬼』はまた、私が三匹の子豚みたいにせっせと築いたモノを、横取りしていくのか」
と、嫌な気持ちはしましたが、もう悲しい気持ちはありませんでした。

『鬼ごっこ』 が終わってもなお、追い剝ぎにやってくる『鬼』

大きくなった子供は成人し、鬼が知らないだろうカタカナ職業につきました。

『鬼』はもっと年老いましたが、20数年経った今、
「お前は自慢の孫だよ、はやくひこ(ひ孫)を見せてくれ」
と言います。
「これ以上、私から何を奪うの」
大人になった子供は心の中で、再び悲しみと怒りでいっぱいになるときがありました。

もう、『鬼』は怖くない

大人になった子供は、
「大人になり、自分で稼ぐって素晴らしいことだ。私は私のために生きればいい。
私は一緒にいたい人とだけ生きればいい。なんて大人になるって素敵なんだろう。
もう、『鬼』は怖くない。
と思うようになりました。

その言葉が自分の心から飛び出したとき、涙が止まらなくなりました。

大きくなった子供は言葉にして初めて、自分自身の決断力・バイタリティを『信頼』できました。

そして、

  • 『自分を最も守ってくれる人』をはじめとする周りの優しい人々は『鬼』とは違う人間だということ
  • 『信頼』という回復魔法をかけてくれていたこと

にやっと気づきました。

子供が『鬼』 を恐れなくなったとき

「私の葬式では泣いておくれよ」
年老いた『鬼』 はいつだったか、大人になった子供に言いました。
大人になった子供は、笑顔の仮面をかぶり、何も答えませんでした。

終わりに

『鬼ごっこ』は『鬼』につかまった人が次の『鬼』になるものですよね。
でも、この話に出てきた、『大人になった子供』は、鬼ごっこの後継者にはならない、と決めているそうです。

『鬼ごっこ』に巻き込まれる子供が、世の中から一人でもいなくなりますように。

今現在進行形で過去の記憶に苦しんでいるあなたに、お願いしたいこと。
ここまで逃げ延びたのだから、どうか、しぶとく生きてください。
きっとあなたの近くに『信頼』っていう回復魔法をかけてくれる魔法使いがいるから。

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