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右往左往するアラサ―女子の、気ままな備忘録・雑記です。

宇多田ヒカルさんの『Fantôme』:自死遺族の悲しみが、故人への感謝・愛・祈りに昇華できたとき

この時代に、宇多田ヒカルさんがいてくれてよかった

自死遺族で、後追いを考えない人は、ほとんどいないんじゃないでしょうか。
私も考えましたし、いまだに考えない日はありません。
だけど、「そっちに行かない、後追いは絶対にしない!」と、自分を引き戻すのは、故人への感謝・愛・祈り、です。
それを歌っているのが、このアルバムだなあって思います。

もし・・・同じような悲しみを背負い、明日を生きるか迷っている人がいたら、
どうか宇多田ヒカルさんのこのアルバムを聴いて、泣いてください。
そうしたら、一日生き延びることができます。
次の日もまた、苦しくなったら、また、聴いて、泣いてください。
そうやって、一日一日を積み重ねてください。

Fantôme

Fantôme

そうしたら、神様から与えられた人生の時間を、サバイブできると、私は信じています。
・・・私の人生まだゴールじゃないから、仮説なんですけどね。

繰り返しになるから、私の身に起こった出来事は以下参照頂くとして。
yuki-kuriyama.hatenablog.com

故人を想い、祈り尽くしたことが凝縮された、アルバムタイトル:Fantôme(気配)

プルーストの、マドレーヌを紅茶に浸して過去の記憶にトリップするみたいに、五感によって、故人との記憶を呼び覚まされることがあります。
「こんな湿度の、こんな夏の終わり、あの子とコンビニであほみたいにお菓子調達して酒盛りして、ああそうだった、その時もこのよしもとばななさんの本の、好きなフレーズを話し合った。今、どうして一人で読んでるんだろう?ねえ、本のページに付箋、貼ってよ
「ああ、そうだ、金木犀いい匂いだねって去年話した、右側にあの子がいた。今年もいる、気がする・・・

悲しみを昇華するってのは、悲しみと共に生きること

宇多田ヒカルさんは、インタビューの中で、こんな風に言っています。

"受け入れて、受け入れられる"アルバムでした。セルフセラピーじゃないですけど、自分自身「道」を繰り返し聴いているうちに「悲しくない。もう大丈夫だ」と思えてきました。

心の中で、起こった事実・故人を"受け入れて、受け入れられる"ことで、宇多田さんは、悲しみを昇華されたのだなと思いました。
悲しみを感じることこそが、故人の気配、だと。
強い悲しみからは逃避しないと受け止めきる、その腹のくくりができることが、悲しみの昇華だと。
これは、故人への感謝・愛・祈りがなければ、気づかないこと。

trendnews.yahoo.co.jp


真夏の通り雨

五感がはたらかなくても、突如として故人が現れ、とめどもなく涙が出ることがあります。
仕事して、少し一息ついたとき。
誰かと一緒にいて、ひとりに立ち返ったとき。
渋谷みたいな、雑踏の中。
「どうしていないの?東京にいないなら、どこにいるの?」そんな、激情が私の心をつかんで離さなくて、あの子の姿が見えないかと、きょろきょろするときがあります。

忘れちゃったら私じゃなくなる
教えて 正しいサヨナラの仕方を

私は、この曲をまだ涙なしに聴くことはできません。いつか、涙が出ないでも聴けるようになることも、知っているけれど。

花束を君に

まさに最後のお別れの瞬間に思った気持ちが歌になっていて、これもまた泣きました。

世界中が雨の日も
君の笑顔が僕の太陽だったよ
今は伝わらなくても
真実には変わりないさ
抱きしめてよ、たった一度 さよならの前に

最後の日、私が眠っている間に、彼は出ていきました。
だから、「いってらっしゃい」を言ってあげられませんでした。
行先が天国でも、私は「いってらっしゃい」と言えていたなら、いくらか救いがあったなあと思います。
かならず、「おはよう・おやすみ」「いってきます・いってらっしゃい」をいうときは、hug and kissを習慣にしていたからです。
それをさせてくれなかったのは、きっと彼なりの覚悟だったんでしょう。
それでも・・私は、彼を抱きしめたかったです。

「道」

抱きしめれば、あと一日、生き延びてくれたのかもしれないからです。あと一日があれば、彼は今も生き延びていたかもしれないからです。
そんな、たくさんの「たられば」が今もあるから、だけれど、「たられば」は「たられば」でしかないことを、私は知っているから、

私の心の中にあなたがいる
いつ如何なる時でも
どこへ続くか分からぬ道でも
きっとそこにあなたがいる

そう信じて、これからも生きるのです。

増田さんへ

あなたの言葉を読んで、泣きました。
「自分のせいで・・」と思わない遺族は、いません。
あなたの悲しみが、少しでも、少しでも解放され、あなたの人生が輝きますように。

いままで父を思い出すとき、「ごめんなさい」という気持ちばかりで「ありがとう」って思ったこと、なかった。
ありがとうって言ってもいいんだって、背中を押された気がした。
宇多田ヒカルさん。
ずっと、欲しくて欲しくて、でも自分では与えちゃいけないと思ってガマンしてた救いをあなたはくれました。

anond.hatelabo.jp