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右往左往するアラサ―女子の、気ままな備忘録・雑記です。

10年経っても同じこと言ってるかもしれない

■どうにか生きている7月、どうにか生きていかないといけない7月

数カ月にわたるまじしんどい案件が終わったので、バケーションをとっている7月の終わり。
坐骨神経痛の三十路の体を引きずり飛行機に乗り、文字通りの避暑をし、John Irvingの名著『THE HOTEL NEW HAMPSHIRE』を再読しながら、宇多田ヒカルさんの『夕凪』を聴いて、過ごしている。
小さくなって箱に入った彼を抱きしめて歩いた時、「大きな波が来て、色んなものなぎ倒していったな」って思ったのを思い出した。あの気持ちは未だに名前がつかないけど、宇多田さんが歌ってくれていた。

こんなに穏やかな時間を
あなたと過ごすのは
何年振りでしょうか

落とさぬように抱いた
小さくなったあなたの体


高校や大学の頃に何度も読み返し、あっちもこっちも付箋だらけになった『THE HOTEL NEW HAMPSHIRE』は、図らずも自分の人生の予言の書だったのかなと思っちゃうくらい、「喪失の連続、それが人生」とIrvingに諭された気がした。
仕事の振り返りは書き残さないけど、瞬間風速的に今この瞬間の絶望的な私の絶望は書き残しておきたい。

■史上最強に人生が停滞している2.5年

友達の多くは私が死別した当時皆独身だったけれど、見事に全員結婚したり出産を経た。
職場で、「ユキさんと働くと子供ができる」と妙な言われ方をするくらい、私の周りは家族や連れ合いが増えた。(これは単なる偶然だろうけどw)
そういう感じで、2年半という月日は、普通に人生を歩んでいれば、様変わりするくらいの時間の長さなのだ。
正直、ご祝儀・お祝い金を渡すのも、「おめでとう」と言って盛大に祝うのも、どう頑張っても全力で祝福できる精神的キャパにないので、非常にしんどい。
めでたい人生は勝手に歩んでくれよ、教えてないでくれよ、というのが本音。
だって、私の人生は、あの日止まったままだ。彼のほかに誰一人のことも愛せないまま。
恋愛は愉しくできる、でも自分の心がわかる、これっぽっちも愛されてないし、愛してもいない。あなたにとっても私にとっても。

■『ソローは漂う/Sorrow floats. 』

私の親やきわめて近しい友達の数人は、嘆き悲しむ私や無理して頑張る私を見ることに疲弊しきっている。
2.5年間も見たこともないどこぞの男の死を抱えて人生の歩みを拒否する私の姿を見せつけることは、申し訳ないなと思う。
だから、元気そうに振舞うことはできる。そのPretendは私にとって彼らへの愛の証明。感謝の証明。
でも、その証明は、悲しみが余計に私の周りに漂うばかりだ。
どうして、誰かのことをCareするほどに私自身が閉ざされていくのか、わからない。

■『どんなものも愛より安全よ/Everything's safer than love.』

故人は生前、死ぬほど悩んだだろう。死ぬほど悩んで死んだのだろう。私をはじめ彼の心の世界に数名いた他者を愛したから悩んだだろう。その愛に心が破壊されただろう。
そう思うと、「彼の苦しみはここで終わったんだ」とその点だけは、彼の死は、私にとっても救済になった。あの子が苦しくない場所に行けたのだから。

でも、私は、彼が生きている間、
「苦しむ彼を見て苦しく切なく無力感にさいなまれる私の人生から逃れるには、おそらくパートナーシップを解消したからって済む話ではない。心の中をデリートできないから。どちらかが死んだらこの毎日の闘いは終わるの?」
って私は確かに思っていた。世界の誰にも言わずに。
でも、彼にはきっと伝わっていた。

彼が死ぬのには、きっとそれで十分だったんだなと思う。

私という存在は、きっと確かに彼を救っただろう。だけどきっと引き金にもなっただろう。
私は確かに彼を愛していたし、彼もまた私を愛していたというのに。
この両立してほしくない事実を、私は自分の寿命が尽きるまで、寝ても覚めても思い続けるだろう。
どうやって自分のこの罪の意識と向き合ったり共存していけばいいのかしら。

■『開いた窓に立ち止まらないで、それが生き続けること/Keep passing the open windows, that means keep on living』

漂っている悲しみの行先が、今はまだわからない。
ただ、閉じることができない開いた窓のそばにずっと立っているわけにもいかないことはわかっている。
早く、悲しみに行先を見つけてあげないといけない。私は、この窓からの風景にさよならをして、新しい窓を開けに行かなくちゃって死ぬほどわかっている。
でも、動けない。
どこにいったらいいだろう?どこにいったら赦されるだろう?
寄る辺ない終わりのないこの苦しみと悲しみにとらわれたらあかんと思うほど、私は自分の今日すら見えなくなる。

好きな男が自分より早く死んでしまうこと。それは普遍的なテーマで、日常にも創作の世界にもよくある話。
でも、この悲しみは自分の物だけ過ぎて、その事実は私をこうやって閉ざした気持ちにさせる。
今日をどうやって生きていこう。立ち止まらないってどうやったらできるんだろう。
あなたに会えさえすれば、また私は生きていたいと思うかもしれない。でも。

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初恋

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